塾の小窓をのぞいたら

スタジオキャンパス代表・矢野耕平のブログ。教育論、読書日記、その他個人的な雑記など。
告知

JUGEMテーマ:中学受験

 

 久しぶりの更新の上に告知でございます……。

 

 旺文社からの依頼にて、旺文社「中学受験高校受験パスナビ」にて「矢野耕平の中学受験お悩み相談室」を連載することになりました。皆様からのお悩みやご不安に対して、できるだけ本音で回答したいと思っています(あまりにストレートなことばを投げかけて人を傷つけると判断した場合には、本音をすこーし薄めることもございますw)

 URLはこちらです。

http://chukou.passnavi.com/campus-yano

 

 続いて、わたしの特別セミナーの案内です。

 9月18日(日)に『難関校国語の攻略法』と題した特別セミナー(無料)をスタジオキャンパス三田校にて開催します。

 難関校の数多くの入試問題を題材にして、記述力や論理的思考力の育成について具体的な方策を示していきたいと考えています。

「国語は勉強してもなかなか成績が向上しない科目である」

「わが子の読解力のなさがあまりにも不安……」

 このような思いを抱いている方はぜひご参加ください。対象は小学生保護者の皆様ですが、当日はお子様のご同伴も可能です。低学年にとってはセミナーの内容を理解するのは難しいでしょうが、小学校5年生・6年生であればぜひ直接話を聞いてほしいと思っています。

 このセミナーの詳細につきましては、以下のURLをごらんください。

http://www.studio-campus.com/html/ivent/160805/index.php

 

 7月は涼しい日が多かったのですが、8月に入ってから暑さがつづいています。くれぐれもご自愛くださいませ。

 

posted by 2016.08.07 Sunday | comments(0) | - | permalink
切り貼りの世界

 遅ればせながら、ご報告を。

 

 拙著『女子御三家』(文春新書)を読んでくださったフジテレビの担当者より連絡を頂戴し、先週水曜日放映のフジテレビ『ホンマでっか!? TV』に評論家のひとりとして出演をさせてもらった。
 テーマは「女子校・男子校・共学 出身校で人生は変わるのか!?」。
 わたしの肩書きは「有名女子校・男子校評論家」(笑)。
 当初は「有名女子校評論家」で先方はお考えだったのだが、「それじゃ、とても危ない人みたいじゃないか」というわたしの猛抗議(?)の末、このような肩書きになった次第。

 

 今回の出演は事前に塾生や塾生保護者には告知していなかった。その理由のひとつは子ども向けのバラエティ番組ではないということ。もうひとつは生放送ではないため、どのように編集されて放映されるかが皆目分からなかったからだ。


 放映時間帯は授業中だったため、後日録画してあった番組を観た。

 編集の「妙」に唸らされた。ダラダラと話してしまったところを上手に「切り貼り」し、理路整然とまとめてくださっている。さすがプロの仕事だなあといたく感心したのだ。

 この番組を観た知人からは、「思っていたよりマトモに話していた」「いつもよりなんだかおとなしかった」という感想を頂戴した。いままでテレビには何度か出たことはあるが、会社での撮影や密着取材、あるいはロケ先での撮影などであり、スタジオ収録は今回が初体験。それゆえ、知らず知らずのうちに硬くなっていたのかもしれない。
 

 ある種、社会科見学の心持ちで参加したのだが、存外に収録現場は和やかな雰囲気であり、大変いい経験をさせてもらったと感謝している。

 

 さて、先ほど「切り貼り」という表現を用いたが、これは諸刃の剣である。
 

 いまから十年以上前のこと。某民放の情報番組でわたしの密着取材がおこなわれた。そこで「切り貼り」による手痛い経験をしたことがある。

 当時は大手進学塾に勤めていて、わたしが責任者を務める学校別クラスの授業のみならず、入試当日や合格発表にいたるまで密着取材を受けた。

 そのテレビ局のディレクターから散々聞かれたのが「難関校に一定数の合格者を輩出すると、どのくらいの報酬がもらえるのか」という点だった。上層部からはその点については答えないほうがよいと指示を受けていたし、わたし自身、子どもたちが全力で挑む入試に携わる中で「金」の話などしてはならないと感じていた。なので、その問いには一切答えなかった。

 密着取材を受けていたある日。ディレクターから「一杯やりましょう。念のためカメラを回しますね」と言われ、そのまま居酒屋へ行った。

 その彼から「ねえ、矢野さん、担当クラスの子どもたちが難関校に多数合格したらいくら貰えるんですか?」とまたも尋ねられた。

 わたしは「それは答えられないって言ったでしょ。ノーコメントです」と回答。

 すると彼は「車は買えますか?」となおも聞く。

 わたしは冗談めかして「車? 買えますよ。中古車なら12万円から手に入るでしょ」と応じた。

 

 もうお分かりだろう。

 実際の放映では次のように流れたのだ。(うろ覚えなので多少異なる点があるかもしれない)

 

(ナレーションの声)

「……塾講師は生徒が合格すると多くの報酬を手にできるという」

(わたし)

「車? 買えますよ」(ここで切られる)

 

 全体としては好意的に放映してくれ、かなりの反響があった番組だったのだが、この点については大変に残念であった。知人からも「あの『車発言』はいただけない」と言われる始末……。

 

 ブログを書いているうちにそんな苦い思い出が蘇ってきたのであった。

 

(追伸)

 講談社・現代ビジネスにて新刊の紹介を掲載してくださっています。ぜひお読みになってください。

 →「LINEで子どもがバカになる!?受験専門塾のトップが見た『日本語崩壊の現場』

posted by 2016.05.03 Tuesday | comments(0) | - | permalink
矢野耕平『LINEで子どもがバカになる 「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)
JUGEMテーマ:読書

 小学生の読書感想文の添削を依頼され、その内容をチェックすることがたまにある。
 ここ最近、小学生の書く「作文の質」が変わってきたように感じる。文章自体は比較的流麗に仕上がっているのだが、違和感を抱いてしまう出来なのだ。
 いや、これは小学生に限ったことではない。職業柄、就職活動をしている学生からエントリーシートを読んでほしいとお願いされたことが何度もあるが、先述した小学生の読書感想文と同種の違和感を抱いてしまう。
 
 両者に共通しているのは、執筆した当人の「本音」が全く読み取れないという点である。
 繰り返すが、文章自体に大きな瑕疵があるわけではない。
 端的に申し上げると、どこからか「コピペ」してきたような文章なのである。一般論がダラダラと続いていて、それに対して当人がどのような意見、感想を持ったのかが皆目分からないのだ。
 
 最近の子どもたちは自身の「本音」をひた隠しにしているように感じられる。
 いや、ひた隠しにしているというよりも、「本音」を開陳することを恐れているといってもいい。
 
 わたしは子どもたちを取り巻く環境の変化が子どもたちをそのようにさせているのだろうと睨んだ。
 
 真っ先に思い浮かんだのが、LINEをはじめとしたSNSの隆盛。
 LINE漬けになっている中高生に友人たちとのやり取りの内容について尋ねていると、複数の子どもたちからこんな声が聞かれた。
「たとえば、相手が『このぬいぐるみ、可愛くない?』なんて画像を付けて送ってきたとき、わたしにとってはちっとも可愛いようには思えない場合、その場をやり過ごすために笑顔のスタンプを送り返すんです。そういうふうに、相手を否定してしまいそうなとき、スタンプの力をつい借りちゃいます」
 
 キツイことばを投げかけることで、相手から嫌われたくない。
 付和雷同をよしとしないことで、周囲から空気の読めない人間だと思われたくない。
 
 子どもたちが本音を言わなくなったのは、こんな自己承認欲求の裏返しである。
 
 さて、こんなわたしの思いが動機になり、一冊の本が完成した。
 それが『LINEで子どもがバカになる 「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)である。
 一応、刊行日は4月20日となっているが、書店には本日もしくは明日くらいに並ぶのではないかと思う。
 
 本書は中学受験で長年国語の教鞭を執ってきた経験に基づき、昨今の子どもたちを取り巻く環境変化が彼ら彼女たちの日本語運用能力にどのような影響を与えているのかを論じたもの。
 タイトルに「LINE」とあるが、一読すればお分かりになると思うが、「LINE」はあくまでも一例として登場している。
 子どもたちの日本語に不安のある方はぜひ読んでほしいと願っている。
 
 
 各章紹介●『LINEで子どもがバカになる 「日本語」大崩壊』

 まえがき
 第1章 便利さと引き換えに失ったもの
 第2章 「敬語」が使えない
 第3章 「比喩」が理解できない
 第4章 「季節感」が分からない
 第5章 それなのに「英語」ですか?
   第6章 「日本語力」を取り戻すために
 あとがきに代えて

 
LINEで子どもがバカになる 「日本語」大崩壊 (講談社+α新書) LINEで子どもがバカになる 「日本語」大崩壊 (講談社+α新書)
矢野 耕平

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posted by 2016.04.21 Thursday | comments(0) | - | permalink
ブログを再開(?)します
JUGEMテーマ:中学受験

 
 ご無沙汰しています。

 中学入試期、ならびに新年度開講の慌ただしさ、また、新刊の執筆作業を同時進行していたため、なかなかブログが書けませんでした。

 不定期ではありますが、そろそろ再開したいと思います。420日に新刊が発売されることもありますし(結局、宣伝かい!)

 

 さて、2016年度入試が終わって早2ヶ月超、新中学校1年生の卒塾生たちが、制服姿でスタジオキャンパスまで顔を出してくれる時期となりました。

 彼ら彼女たちは始まったばかりの中学校生活が嬉しくてしかたがない様子。夢いっぱいの姿は、わたしのような「オジサン」にとっては眩しい限り。
 

 もちろん、順風満帆に中高生活を送れる人などほとんどいないでしょう。

 友人との摩擦に悩んだり、勉強が嫌になってしまったり……さまざまな悩みや葛藤を経験するはずです。

 そんな折にスタジオキャンパスを思い出して、ふらりと立ち寄ってほしいと考えています。

 

 2016年度入試はスタジオキャンパスの第9期生48名が全員私立中学校に無事合格、進学しました。

 そして、いま2017年度入試に向けて第10期生が受験生となり、日々学習に打ちこんでいます。


 誰一人として同じ子はいません。

 ひとり一人にドラマがあります。

 わたしたちスタジオキャンパスは「生徒ひとり一人が主役」になれる環境を整えている少人数定員制の小さな中学受験専門塾です。

 全員が「中学受験をしてよかった」「希望の学校に進学できて嬉しい」と感じてもらえるよう、わたしたちは気持ちを新たに今年度も全力で指導をしてまいります。

 

(追伸)

 昨秋刊行した拙著『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)が、発売されたばかりの『サンデー毎日』(2016424日増大号)の「SUNDAY LIBRARY」にて紹介されています。この本は女子校教育の魅力がぎゅっと詰まっていると自負しています。ぜひお読みになってください。

 

女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密 (文春新書) 女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密 (文春新書)
矢野 耕平

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posted by 2016.04.14 Thursday | comments(0) | - | permalink
中学受験 親子の坂道
JUGEMテーマ:中学受験

 今朝は文京区にある私立男子中学校の入試応援。
 受験生集合時間の30分前には4人の塾生と会えたので、そそくさと会場をあとにした。

 駅に向かう下り坂。
 前方からこの男子中学校の受験生と思しき一組の父子が坂をゆっくりとのぼってくる。

 父親が何やら息子に話しかけている。
「昔、この通りに美味しいパン屋があったんだぜ。まだあんのかなあ」

 その口調から普段は息子と話し慣れていないことが伝わってくる。それでも、緊張をほぐそうとしているのだろう、父親はなおもことばを懸命に継いでいる。

 男の子はそんな父親に対してくすぐったいような笑顔をみせる。

 何かがこみ上げてきた。
 危ない、危ない…。

 涙腺が緩くなったのは、入試時期独特の雰囲気に呑まれているからか、ただ歳をとっただけなのか…。
 あるいは、もうじきお前がその立場になるんだぞ、と言われている気がしたからかもしれない。

 中学入試2日目。
 がんばれ、受験生。そして、親たち。
posted by 2016.02.02 Tuesday | comments(0) | - | permalink
本田真美・木下勝『タイプ別「頭がよい子」になるヒント』(自由国民社)
JUGEMテーマ:中学受験

 わたしは二十数年間中学受験指導をおこなっているが、いまでも生徒ひとりひとりとの接し方について悩むことが多くある。
たとえていうならば、中学受験指導を生業にしているわたしは、日々子どもたちひとりひとりと「キャッチボール」をしているのだ。

 こちらが正面に投げたボールをなかなか受け取ってくれないこともあるし、ときには暴投してしまうこともある。
 子どもがこちらに向かって投げたボールが暴投することもあれば、ど真ん中に投げてくれてバシッといい音を立て、そのボールがこちらのミットに吸い込まれることもある。

 当たり前だけれど、子どもたちは千差万別であり、ひとりひとりにすべて違う対応が求められている。
 そういう意味で、教育に携わる者としては、先に挙げた「悩み」は尽きることがないのだろう。その「悩み」がなくなったら、それは塾講師としての引き際なのかもしれない。

 さて、子どもたちを敢えて「タイプ別」に分類し、それぞれに応じた学習指導について言及した本がある。
 それが、小児科医の本田真美先生と当塾スタジオキャンパスの副代表・木下勝の共著である『タイプ別「頭がよい子」になるヒント』(自由国民社)である。
 子どもたちがそれぞれ抱えている問題点やつまずきの原因を、認知特性や能力という点から探ってみれば、気づかなかったことが見えてきます。子の勉強には認知特性が大きくかかわるとした上で、われわれ大人たちの具体的なアプローチ方法を紹介している、そんな本である。

(追記)
 この本の一部が今朝の朝日新聞に紹介されたということもあり、話題になっているそうです。
 アマゾンをのぞいたら、総合ランキングで何と81位(凄い!)。「家庭教育」のカテゴリでは断トツの第1位!
 日々、お子さんとの接し方に悩んでいる保護者にとって「光」が見出せるきっかけになるかもしれません。ご興味のある方はぜひ。


 
タイプ別「頭がよい子」になるヒント タイプ別「頭がよい子」になるヒント
本田 真美 木下 勝

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posted by 2015.11.04 Wednesday | comments(0) | - | permalink
受験校パターン決定に際して大切なこと
JUGEMテーマ:中学受験

 今日は11月1日。
 中学受験生にとっては2月1日より解禁となる都内・神奈川県の私立中学入試本番までちょうど3ヶ月である。

 この時期、保護者の頭が痛いのは、どういう受験校パターンで入試日程を組み立てていくべきかということだろう。
 尺度になる模擬試験の偏差値の乱高下が激しい…あるいは、模擬試験の合否判定では良い結果が出ていても過去問ではさっぱり合格点に届かず…などなど、頭を悩ませるネタは尽きない。加えて、昨今はいわゆる「午後入試」を受けるのがデフォルトなので、受験校パターンはどうしても複雑化してしまう。
 わたしたちスタジオキャンパスでは今月中旬より「進路面談」をおこなう。一度で終わることは少なく、子どもたちの最終的な「受験校パターン」が決まるまで何度も面談をおこなう。当たり前だけれど、「子がどの学校に進学するか」=「子が多感な中高時代をどういう環境で過ごすか」である。わたしたちも自分たちの持つ経験値を最大に活かして、お力になりたいと決意している。保護者と考えが食い違うことも多々あるけれど、わたしたちも子どもたちにとって「最善の」受験パターンは何かを考えた上で、いろいろなご提案をしたいと思う。

 そして、大切なのは一度決めた「受験校パターン」は入試本番時に「ぶれて」はいけないということ。ちょっと気が早いが、こんなエピソードを紹介したい。

 数年前にこんなことがあった。仮にS君としよう。

【S君の受験校パターン】
2月1日 A中学校(第1回) /(午後)B中学校
2月2日 C中学校
2月3日 D中学校orB中学校
2月4日 E中学校
2月5日 A中学校(第3回)

 S君の第1志望校はA中学校である。そして、安全校としてB中学校、実力相応校としてC中学校・E中学校を受験する。2月3日のD中学校は首都圏トップクラスの難関校であり、ご両親はA中学校に合格をしたら「ご褒美に」D中学校を受けさせようと考えていたらしい。もちろん、1日と2日で不本意な結果だった場合は、D中学校を回避し、再びB中学校に挑むことになっていた(いわゆる「W出願」というもの)。

 S君の本番はかなり厳しいスタートとなる。
 1日のA中学校に不合格。そして、まさかのB中学校の午後入試に不合格となってしまう。さらに、2日のC中学校不合格が当日夜に判明した。
 そんなタイミングで、受け持ちの担当がわたしのところへ慌てて相談にやってきた。
 聞けば、S君は家で泣き叫びながら両親にこう訴えたという。
「お願いだから明日はD中学校を受けさせてよ! ぼくは絶対に後悔しないから! いままで受験勉強に打ち込んできたのはぼくじゃないか。自分で受ける学校くらい決めさせてよ!」
 涙ながらにそう訴える彼に圧倒されたご両親は塾に連絡をしてきて、「本人がそう言うので、明日はD中学校を受けさせます」と断言したとのこと。
 わたしは「それはいかん」と思い、すぐにS君のお母様に連絡を入れた。もちろん、明日の受験校をB中学校にするためである。しかし、S君の 意志が固いこともありその場で結論を覆すことはできなかった。
 夜遅くに再び電話をする。出たのはお父様。(S君は電話に出られる状態ではなかった)
「昨日、今日とS君を悲しませてしまい、塾として本当に申し訳なく思っています。しかし、お父様、S君は不合格が続いてしまい感情的になっています。申し訳ありませんが、いまのS君の精神状態ではD中学校はまず受かりません。お願いです。わたしを信じてB中学校を受験してもらえませんか。ここで合格を勝ち取ることができれば、彼はその後も戦えるはずです」
 こちらの考えが伝わったことで、お父様はS君を説得してくれることになった。

 結論が出たのは深夜だったのだろう。
 翌日の明け方に塾のメールアドレスにS君のお母様からこんなメッセージが送られていた。
「先生を信じて、今日はB中学校を受けに行きます。Sもちゃんと納得してくれました」
 わたしはホッとした。

 そして、3日のB中学校の合格発表。わたしはいまかいまかとS君からの連絡を待っていた。
 すると、お母様から電話がかかってきた。かなり興奮している。
「ありがとうございます。B中学校、合格しました!」
 わたしは思わずガッツポーズ。塾の事務室が歓喜の声に包まれた。
 わたしはお母様にこう言った。
「おめでとうございます。ぜひS君の声を聞かせてください」
 すると、S君はいま電話に出られないという。

 ん…!? ひょっとするとD中学校を受けさせてもらえなかったことに不満を抱いているのか…と思った矢先、お母様がこう言った。

「Sはいま合格の報に興奮し過ぎてしまい、電話に出られる状態でないのです」

 そう、そんなものなのだ。

 S君は4日のE中学校にも合格。
 そして、5日のA中学校の「リベンジ戦」、見事に合格を勝ち取ったのだ。

 これからどのご家庭も考えに考え抜いた末、受験校パターンを決定する。
 上記のエピソードではないけれど、そのパターンが揺らいでしまうタイミングがあるかもしれない。でも、そこは初志貫徹する姿勢がとても大切なのである。


【拙著『女子御三家』(文春新書)の情報】
*10月20日に刊行された『女子御三家』、おかげさまで1週間で重版となりました。心より御礼申し上げます。
*10月第3週のAmazon(学校関連書籍)第1位、楽天ブックス(教育・福祉部門)で第1位を獲得しました。
*文藝春秋「本の話WEB」にてわたしのインタビュー、そして、入試問題分析を掲載しています。
インタビュー・対談「学力の桜蔭、自由の女子学院、お嬢様の雙葉…女子御三家の秘密にせまる」
女子御三家・傾向と対策(著者による解析、入試問題と一部解答つき)
*スタジオキャンパス特設サイトで公開した「女子御三家適性診断テスト」に7000名近い方が挑戦してくれました。ありがとうございます。
*雙葉卒業生の鈴木美潮さん(読売・編集委員)が、拙著に触れた上で母校の思い出をYOMIURI ONLINEで紹介しています。こんなふうな思いを抱きながら拙著を読んでくださったこと、著者冥利に尽きるというものです。
YOMIURI ONLINE「秋深まれば思い出す 母校のあれこれ」



 
女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密 (文春新書) 女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密 (文春新書)
矢野 耕平

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posted by 2015.11.01 Sunday | comments(0) | - | permalink
再び告知
JUGEMテーマ:中学受験

 拙著『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)が一昨日刊行となりました。
昨日の朝日新聞朝刊(3面)には文春新書の広告がドーンと載っていました。拙著も思いのほか良い位置取りで(笑)嬉しい限り。


 
 発売早々にして多くの人が読んでくださっているようです。

 現時点で、amazon「学校教育部門」にて全体第1位(文春新書全体では第4位/教育学全般で第5位)であり、楽天ブックスの日別ランキングでは、「教育・福祉部門」全体第1位です。

 本日「本の話WEB」というサイトで本書に関するわたしのインタビューが公開されました。女子御三家の魅力、女子教育の意義などを語っています。明日には同サイトで女子御三家各校の入試問題分析をアップする予定です。ご興味のある方はぜひお読みください。

 「本の話WEB」女子御三家のページ
 
 スタジオキャンパス「女子御三家」特設サイト


 
女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密 (文春新書)
女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密 (文春新書) 矢野 耕平

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posted by 2015.10.22 Thursday | comments(0) | - | permalink
矢野耕平『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)
JUGEMテーマ:中学受験
 
 本日、10月20日は文藝春秋より刊行される拙著『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)の発売日。
 実際には数日前からネット書店やリアル書店で発売が開始され、何人かの方から嬉しいご感想を頂戴しています。

 さて、本書を著そうと考えたきっかけは次の二点です。

 ひとつは、女子御三家の各校「桜蔭」「女子学院」「雙葉」の卒業生の様子を見ると、どうも世間が抱く(あるいは俗伝されている)各校のイメージと実際に隔たりがあるように感じたことです。
 二つ目は、女子御三家各校の卒業生たちはまさに「三者三様」のパワフルさを有している女性揃いであり、彼女たちは中高でどのような教育を受けてきたのだろうかと興味を抱いたことです。「女性活躍推進」が掲げられている昨今ですが、そのための具体的な教育の施策がなかなか見えてこないこともあります。ならば、女子御三家各校の独自の教育文化を深く掘り下げることで、女性活躍の推力(女子教育)を考える上でのヒントになるのではないか…そんな期待を持ったのです。

 本書では実に多くの女子御三家各校の卒業生が登場します。その数は30名近く。
 取材に要した時間は一人当たり平均2時間程度。じっくりと向き合い、彼女たちが母校に抱く本音を引き出そうと努めました。

 また、企画段階で一抹の不安を抱いたこととして「桜蔭」「女子学院」「雙葉」の三校が果たして本書の取材に応じてくれるかどうかでした。特に桜蔭については、調べてみたところ、書籍の取材に応じた形跡はありません…。
 しかし、嬉しいことに三校すべてが取材に快く応じてくださったのです。
 桜蔭は、校長の佐々木和枝先生、教頭の齊藤由紀子先生、教務主任の小林裕子先生がいろいろな話を聞かせてくださいました。
 女子学院は、院長の風間晴子先生、国語科教諭の本多秀子先生、そして、2000年度〜2011年度まで院長を務めた田中弘志先生にも取材を引き受けていただきました。
 雙葉は、校長の和田紀代子先生に自校の教育について熱く語ってもらいました。

 取材を重ねていくうちに当初は「ぼんやりとしていた」桜蔭・女子学院・雙葉の「真実」がくっきりと浮かび上がってきました。そして、それぞれが持つ教育文化はすべて始祖(創業者)の思いが現在も貫かれていることが分かったのです。それらの教育文化は「女子の成長・成熟」を促す仕掛けがたくさん盛り込まれているのです。

 本書を読んでくださるとお分かりになると思いますが、主役は「卒業生たち」です。そして、学校サイドが在校生・卒業生に温かな目を向けていることが理解できるでしょう。

 なお、今回の取材で「在校生」を対象にしなかったのは、現在進行形で学校生活を送る彼女たちはまだ自校の教育を客観的に語ることは難しいだろうとの判断です。かといって「いまの姿」とかけ離れていてもいけない…そう考えた結果、取材した卒業生たちの大半は18歳〜30歳前後の年齢層となりました。
 また、女子御三家出身のいわゆる「著名人」のインタビューやコメントは一切載せていません。これは個人のキャラの濃さ(世間が抱くイメージ)が、客観性を失わせてしまうのではないかと考えた上でのことです。

 話は変わりますが、昨日ニュースサイトを見ていたら、驚く情報が入ってきました。
 神奈川県の生麦にある「法政大学女子高等学校」が2018年度を目途に、「(仮称)法政大学国際高等学校」として、共学化を進める予定とか。身近に「法女」出身者が何人もいるので、彼女たちが抱く「さみしさ」を考えると、ちょっと心が痛くなります。(もちろん、学校側が熟慮を重ねた上での結論でしょうが…)
大学プレスセンター「法政女子高等学校の将来構想について」

 最近は多くの女子校が「共学化」されています。

「世の中は男と女で成り立っている。だから、多感な中高時代は共学校で過ごすのが健全である」
 こんな見方をする人はたいへん多いです。

 では、女子校はもうその役割を終えようとしているのでしょうか?
 女子校教育は必要ないのでしょうか?

 わたしは断言します。女子校教育には在校生を成長に導く「仕掛け」がたくさんある、と。

 女子御三家各校を志望している女子保護者のみならず、女子の教育に携わっている方々にぜひ本書を読んでほしいと願っています。
  女子教育の持つ意義がお分かりになると思います。

  機会がございましたら、ぜひ感想を聞かせてください。



 さすが文春新書ですね。多くの書店で平積み、かつ目立つところに本書が置かれています。
 多くの人たちに届くといいなあ。


 
 
女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密 (文春新書 1051) 女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密 (文春新書 1051)
矢野 耕平

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posted by 2015.10.20 Tuesday | comments(0) | - | permalink
模試結果に一喜一憂してはいけません
JUGEMテーマ:中学受験
  ちょっと肌寒い日が続くようになりましたね。受験生にとっては入試本番の足音がそろそろ聞こえてくる時期でしょう。また、毎月合否判定模試を受験し、多くの帳票を眼前に受験校の選定に頭を悩ませている時期でもあることでしょう(本当に胃が痛くなりますね)。

 今回は「模試結果に対する(保護者側の)受け止め方」がテーマです。

  秋から冬にかけて実施される大手テスト会主催の合否判定模試。その得点結果が判明する日には保護者の皆様たちから塾に電話がかかってきます。
大手塾に勤めていた昔、わたしあてに女の子のお母様から電話がかかってきました。受話器をとった瞬間、罵声が飛んできたのです。
「ちょっと、矢野先生! ウチの子、模擬試験の国語偏差値が前回に比べて8ポイントも下がってしまったのだけど、どういう指導をなさっているんですか。こんな成績になってしまって…先生はどう責任を取ってくれるんですか!」
 わたしはこう即答しました。
「得点が芳しくなかったのはわたしも責任を感じております。申し訳ありません。明日、本人が塾にいらっしゃった折、答案をわたしまで持ってくるようにお伝えください。どこで取りこぼしてしまったのかをしっかり分析、ご報告した上で今後の方策を練ってまいります。」
 電話が切れたあと、わたしはため息をつきました。
「でもなぁ…。」
 その1ヵ月後のこと。同じお母様からわたしあてに電話が入りました。子どもの模擬試験の結果報告です。前回と一転、お母様は狂喜乱舞のご様子。
「さすが矢野先生だわ! ウチの子、前回に比べて国語の偏差値が10伸びたのよ! これで志望校合格も見えてきたわ。先生、ありがとう!」
「それはよかったですね。わたしも安心しました。この調子を維持して中学受験を迎えられるよう、こちらもしっかりバックアップしてまいります。」
 電話を切ったあと、わたしは微苦笑しました。
「でもなぁ…。」

  さて、「でもなぁ…」の後ろに省略されていることをここで説明申し上げましょう。

 中学受験の合否を占う大切な模擬試験。どうしても結果が気になるのは当たり前のことです。しかし、その結果のひとつひとつに一喜一憂するのはやめたほうがよいでしょう。その理由を大きく2点に分けて説明します。

≪親の一喜一憂が子どもに伝染する≫
 「喜」の場合、子どももそれによって自信を持ったり、学習へのモチベートが喚起されたりと良いところもあるのでしょうが、逆に、中学入試直前の大事な時期にほどよい緊張感がするすると緩んでしまうことにも繋がりかねません。
 「憂」の場合、事態はさらに深刻になる可能性が高くなります。
 「あなた、何よ、この酷い成績は! こんなんじゃどこにも合格できないじゃないの!」
 癇癪を起こし、子どもに罵声を浴びせたとしても、子どもが発奮してやる気になるなんてことはレアケースです。ほとんどの子どもは精神的に撃砕され、陰鬱になるだけです。学習意欲など湧くはずもないでしょう。

≪子どもが結果のみにとらわれてしまう≫
 親が得点や合否判定数値ばかりに固執すると、その姿勢が子どもにも伝染します。大手テスト会の合否判定模試は多くのスタッフが膨大な時間を費やして作成する「良問揃い」です(一部そうは言えないものもありますが…)。よって、合否判定模試は、子どもが自身のウィークポイントを見出すことのできる絶好の材料です。しかし、子どもが数値ばかり気にしてしまうと、その肝心のところから目を背けてしまうのです。たとえば、100点満点で85点とって子どもが大喜びしていたら、そのがんばりを褒め称えた上で、「あと15点分復習すればバッチリだね!」と声をかけてやってください。

 最後に、模擬試験の結果(得点・偏差値)は、その日、その時間の「瞬間風速」のようなものであることも付加しておきます。その日だけをとってみれば、「風が一向に吹かない」時間もあるでしょうし、「強風が吹きすさぶ」時間もあるかもしれないのです。複数回同じ種類の模擬試験を受験しているのであれば、それらの平均値がお子様の「真の学力数値に近いもの」といえます。それに基づいて志望校選定されるとよいでしょう。

 模試結果に一喜一憂してはならない…うーん、でもそうなってしまう気持ちは分かるんです。本当に。
 大切なのは子の成長を考えてどう「演じる」かですよね。

 
posted by 2015.10.17 Saturday | comments(0) | - | permalink